町で育った、ヒンバ女性の告白(ナミビア)

何でも分け合う文化が定着しているヒンバ族、昨日はちょっとびっくりな性事情(関連記事→夫シェア・妻シェア?)をシェアさせていただきましたが、ヒンバ族の女性だったら誰でも、夫シェアを良しとしているわけではないようです。

* * * * * * * *

ナターシャはヒンバ族の女性ですが、子供の頃母親が彼女を連れて町に出たため、町で育ちました。

伝統的な衣装も身につけていません。

祖母や親戚は伝統的な生活をしているそうです。

彼女には、8年間付き合っている恋人がいます。

恋人はヘレロ族(※)のマイクです。

※バントゥー系と呼ばれる民族で、ヒンバ族もこのバントゥー系民族です。ヘレロ族とヒンバ族は元は同一民族でしたが、歴史的背景から生活様式が大きく異なるようになり、別民族と分類されるようになりました。ちなみに、へレロ族はドイツ統治時代に大量虐殺を受け、推定6万人を失うという悲劇を経験しています。

マイクは言います。

「彼女が結婚してくれない」

「I’m not ready.(まだ早い)って言うだけなんだ」

それだけ結婚について真剣に考えているからこそ、そういうのだと思うわ・・・。

「子供だっているんだ」

えっ、そうなの?びっくり

なんと、ナターシャは8年越しの恋人がいながら、シングルマザーの道を選んでいるのです。

マイクの言い分をまとめると:

・8年も付き合っている

・2人の間には、3歳の子供がいる

・一緒に暮らしたいのに、ナターシャが結婚してくれない

彼がナターシャにぞっこんラブというのは見ていればかわります。

クリスマスにひざまずいてプロポーズしていたほどハート

ナターシャは、遠い国からやってきた、かなり年上の独女(←私のこと)に興味を持ち、こっそり話してくれました。

「私が結婚したくないのは、彼がヘレロだからよ。ヘレロ族は一夫多妻制で何人でも妻を娶れる。男性の浮気も認められているわ。だからイヤなの」

ナターシャの属するヒンバ族も一夫多妻制ですが、彼女は町で育ち十分な教育を受けたため、伝統的なヒンバ女性とは異なる価値観をもっています。

・・・この問題は、根が深そうです。

今はナターシャにぞっこんなマイクでも、10年後はどうなっているかわかりません。

「10年どころか、2年後どうなっているかだって、わからないわ。だから、私はこのままがいいの」

確かに、ナターシャとしてみれば、マイクに愛されながら仕事に専念し、必要に応じて自分の母親に娘の面倒を見てもらえる今の環境のほうが魅力的でしょうポイント

マイクは、

「絶対に浮気はしない。これまでの8年間がそれを証明している・・・」

というけれど、ナターシャは納得しません。

仮にマイクが浮気をしなくて、ナターシャ以外の女性と結婚しなかったとしても、親族を含むマイクの周りの人たちは、ヘレロ族としての生活を保ち、女性が虐げられているとっても良い価値観を持っている(と推測できる)わけです。

ナターシャがヘレロ族の恋人と結婚することに対して否定的な考えを払拭できない気持ちは、現代社会に生きる女性なら、恐らく、わかる話だと思います。

「結局僕ではダメってことなんだよね」

「もっと良い条件の男がいたら、そっちのほうがいいってことでしょ?」と遠回しに言う・・・。

その可能性はある←マイク、ごめん!!

ただし、民族問題を含めての良い条件。

でも、まさか、ナターシャとしては、8年付き合って、2人の間に子供までいる、マイクに「あなたはヘレロだから、結婚できません!」なんて、民族(=アイデンティティ)を否定するようで、言えないでしょうね。

伝えることを決心するにも、時間がかかるでしょう。

I’m not ready.(ready=準備が整っている)と言う言葉に気持ちを集約するナターシャの気持ちがわかります。

もちろん、マイクの気持ちもわかります。

2人の生活環境が劇的に変わるか、マイクが根気強く待つより手はなさそうです。

ところで、ヒンバ族の集落を訪れた時、学校へ通っていない女の子が多いことに気づきました。

ヒンバ族の女の子たち

少なくともこの集落では、三つ編みを額に垂らしている女の子は学校へ通っていないそうです。学校がその髪型をを許可しないため、学校に通う子は髪を剃っています。

ヒンバ族の少女たち

教育を受ける子供たちが多くなればなるほど、少数民族としての生活や伝統を維持できなくなる可能性は高くなります。

少数民族としての伝統維持と現代社会における学校教育は相反する部分が多いからです。

伝統を維持しつつ、どの子も等しく教育を受けられるようになるのは、もう少し先の未来なのでしょうか。

ナターシャとマイクの問題は、その後ややこしく発展したため、割愛しま~すウインクくるくる星

北キプロスのカルパス半島に生息する野生のロバたち。

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