ガンガーと共に生きる①(Discovery5)

「で、やっぱり人生観は変わるの?」

インドに行った、と言うと、

8割近くの人にこう問われる。

簡単には答えられない、難しい質問である。

しかし、あの地に身を置いて

何も感じない人などいるのだろうか、

とさえ私は思う。

『8月14日:一睡もできなかった。

火葬場、死体を運ぶ行列、

ガンガー(ガンジス河)に流される死の灰、

火葬されずに流され、

河に浮いていた子供の死体。

道は人、牛、車、リクシャー(人力車)、

ヤギ、犬、猿……、

でごった返している。

1つの路上に見る様々な生活様式。

カーストはまだ根強く残っている。

天と地ほどの貧富の差。

全くの別世界。

路上で寝起きする人々、

トイレ程の広さの家(小屋)に住む人々、

必死に観光客をつかまえて家計を助ける子供たち……

(中略)

死は誰にも平等に訪れる。

1つの業を終え、ガンガーへ戻される。

死は終わりではない。

きっと、始まりなのだ』

当時の旅日記から引用してみた。

私がヴァーラナシー(ベナレス)へやって来たのは、

日本を発って2週間した頃だった。

インドではどの町もが印象深かったが、

この町ほど、視覚だけでなく、

嗅覚に訴えた町はない。

ごった返す人々の脂汗、路地で売られる

スパイスや野菜、南国の果物、あらゆる食物、

花、動物や人々の排泄物、砂埃、燃え上がる

死体……、生活で発するありとあらゆる匂い

がいっしょくたになって、

鼻孔をくぐり抜ける。

私はこの匂いに圧倒されながら、

ガンガーを目指した。

ガンガーの西岸には、大小80のガートが

連なっている。

ガートは、岸辺から階段になって

河水に没している堤で、

沐浴場として使われている。

中には火葬場として使われているものもある。

ヴァーラナシーでは、1日100体とも

200体ともいわれる死体が焼かれる。

ここで沐浴し、死後、灰となった骨を

ガンガーに流せば、すべての罪を許され、

輪廻から解脱できる、と信じられている

からだ。この町で死を待つ人々もいる。

遠くの村から親族の遺体を運んでくる

人々もいる。


つづく・・・

北キプロスのカルパス半島に生息する野生のロバたち。

ニンジンをあげると喜ぶんです!

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#インド#火葬場#ガンガー#ガンジス川#ベナレス#カースト制度#一人旅