一発大逆転① (Discovery1)

ヨーロッパを旅行中、

無性に砂漠を見たくなり、

モロッコに飛んだことがある。

初めて足を踏み入れるアラブの国は、

まさに異郷の地。

私はこれから始まるアドベンチャーに

わくわくしていた。

モロッコの都市の多くは、

城壁に囲まれた旧市街(メディナ)と

その外に広がる新市街に分かれている。

メディナの中でも、スーク(市場)と呼ばれる

一帯は特に賑やかで、

細く起伏に富んだ迷路のような道は常に人で溢れ、

その間を荷を積まされたロバが行く。

右へ曲がり、左へ折れるその道の両側を

様々な店が軒を連ねる。

革製品、真ちゅう細工、貴金属、絨毯、衣料品、

日用雑貨、肉に野菜、香辛料…。

ありとあらゆる種類の店先では、

お客と店の主人が声高に話し、

職人は奥で雑多な音を響かせる。

古都マラケシュには、

世界最大といわれるスークがある。

本当に世界最大かどうかはさておき、

私はこのマラケシュのスークを幾日も歩いて回った。

ただ単にサハラ砂漠へ向かうバスを待つためだったが、

何度足を運んでも新鮮で飽きることがなかった。

ようやく頭の中に地図が出来上がった頃、

私はその子たちと出会った。

その子たちとは、

上は15歳から下は5歳くらいの少年の集団で、

観光客にお金や物品をせびる。

私の行くところ、行くところ、後を追い続け

「お金をくれ」

「ボールペンをくれ」と、

とにかくしつこい。

その辺のお店に入ったり、

モスクや神学校に姿をくらませても、

出てくるとずらりと並んで待っている。

しかも時間の経過と共に

子供の数が増えていくではないか!


「私を追い回しても何も出てこないよ。

他の人をカモにすれば?」
と言ってみたところで、去ろうとしない。

そして、私はひたすら無視し続ける。

日が暮れかかった頃、

ようやく彼らが子供であることを思い出し、

言ってみた。
「そろそろ家に帰りなよ」


すると彼らは、帰れない、と即座に答える。

どうやら、今日の収入が足りない、

ということらしい。

続く・・・

北キプロスのカルパス半島に生息する野生のロバたち。

ニンジンをあげると喜ぶんです!

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#モロッコ#マラケシュ#メディナ#スーク#一人旅#思い出